アイヌ語聖書 ジョン・バチェラー訳 新約聖書(1897年)・詩編・ヨナ書
Markos Mark マルコ傳福音書

14 Ik.

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さて、過越祭と除酵祭の二日前になった。祭司長たちや律法学者たちは、なんとか計略を用いてイエスを捕らえて殺そうと考えていた。

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彼らは、「民衆が騒ぎだすといけないから、祭りの間はやめておこう」と言っていた。

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イエスがベタニアで重い皮膚病の人シモンの家にいて、食事の席に着いておられたとき、一人の女が、純粋で非常に高価なナルドの香油の入った石膏の壺を持って来て、それを壊し、香油をイエスの頭に注ぎかけた。

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そこにいた人の何人かが、憤慨して互いに言った。「なぜ、こんなに香油を無駄遣いしたのか。

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この香油は三百デナリオン以上に売って、貧しい人々に施すことができたのに。」そして、彼女を厳しくとがめた。

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イエスは言われた。「するままにさせておきなさい。なぜ、この人を困らせるのか。わたしに良いことをしてくれたのだ。

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貧しい人々はいつもあなたがたと一緒にいるから、したいときに良いことをしてやれる。しかし、わたしはいつも一緒にいるわけではない。

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この人はできるかぎりのことをした。つまり、前もってわたしの体に香油を注ぎ、埋葬の準備をしてくれた。

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はっきり言っておく。世界中どこでも、福音が宣べ伝えられる所では、この人のしたことも記念として語り伝えられるだろう。」

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十二人の一人イスカリオテのユダは、イエスを引き渡そうとして、祭司長たちのところへ出かけて行った。

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彼らはそれを聞いて喜び、金を与える約束をした。そこでユダは、どうすれば折よくイエスを引き渡せるかとねらっていた。

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除酵祭の第一日、すなわち過越の小羊を屠る日、弟子たちがイエスに、「過越の食事をなさるのに、どこへ行って用意いたしましょうか」と言った。

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そこで、イエスは次のように言って、二人の弟子を使いに出された。「都へ行きなさい。すると、水がめを運んでいる男に出会う。その人について行きなさい。

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その人が入って行く家の主人にはこう言いなさい。『先生が、「弟子たちと一緒に過越の食事をするわたしの部屋はどこか」と言っています。』

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すると、席が整って用意のできた二階の広間を見せてくれるから、そこにわたしたちのために準備をしておきなさい。」

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弟子たちは出かけて都に行ってみると、イエスが言われたとおりだったので、過越の食事を準備した。

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夕方になると、イエスは十二人と一緒にそこへ行かれた。

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一同が席に着いて食事をしているとき、イエスは言われた。「はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人で、わたしと一緒に食事をしている者が、わたしを裏切ろうとしている。」

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弟子たちは心を痛めて、「まさかわたしのことでは」と代わる代わる言い始めた。

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イエスは言われた。「十二人のうちの一人で、わたしと一緒に鉢に食べ物を浸している者がそれだ。

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人の子は、聖書に書いてあるとおりに、去って行く。だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。生まれなかった方が、その者のためによかった。」

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一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱えて、それを裂き、弟子たちに与えて言われた。「取りなさい。これはわたしの体である。」

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また、杯を取り、感謝の祈りを唱えて、彼らにお渡しになった。彼らは皆その杯から飲んだ。

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そして、イエスは言われた。「これは、多くの人のために流されるわたしの血、契約の血である。

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はっきり言っておく。神の国で新たに飲むその日まで、ぶどうの実から作ったものを飲むことはもう決してあるまい。」

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一同は賛美の歌をうたってから、オリーブ山へ出かけた。

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イエスは弟子たちに言われた。「あなたがたは皆わたしにつまずく。『わたしは羊飼いを打つ。すると、羊は散ってしまう』と書いてあるからだ。

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しかし、わたしは復活した後、あなたがたより先にガリラヤへ行く。」

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するとペトロが、「たとえ、みんながつまずいても、わたしはつまずきません」と言った。

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イエスは言われた。「はっきり言っておくが、あなたは、今日、今夜、鶏が二度鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう。」

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ペトロは力を込めて言い張った。「たとえ、御一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどとは決して申しません。」皆の者も同じように言った。

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一同がゲツセマネという所に来ると、イエスは弟子たちに、「わたしが祈っている間、ここに座っていなさい」と言われた。

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そして、ペトロ、ヤコブ、ヨハネを伴われたが、イエスはひどく恐れてもだえ始め、

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彼らに言われた。「わたしは死ぬばかりに悲しい。ここを離れず、目を覚ましていなさい。」

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少し進んで行って地面にひれ伏し、できることなら、この苦しみの時が自分から過ぎ去るようにと祈り、

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こう言われた。「アッバ、父よ、あなたは何でもおできになります。この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしが願うことではなく、御心に適うことが行われますように。」

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それから、戻って御覧になると、弟子たちは眠っていたので、ペトロに言われた。「シモン、眠っているのか。わずか一時も目を覚ましていられなかったのか。

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誘惑に陥らぬよう、目を覚まして祈っていなさい。心は燃えても、肉体は弱い。」

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更に、向こうへ行って、同じ言葉で祈られた。

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再び戻って御覧になると、弟子たちは眠っていた。ひどく眠かったのである。彼らは、イエスにどう言えばよいのか、分からなかった。

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イエスは三度目に戻って来て言われた。「あなたがたはまだ眠っている。休んでいる。もうこれでいい。時が来た。人の子は罪人たちの手に引き渡される。

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立て、行こう。見よ、わたしを裏切る者が来た。」

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さて、イエスがまだ話しておられると、十二人の一人であるユダが進み寄って来た。祭司長、律法学者、長老たちの遣わした群衆も、剣や棒を持って一緒に来た。

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イエスを裏切ろうとしていたユダは、「わたしが接吻するのが、その人だ。捕まえて、逃がさないように連れて行け」と、前もって合図を決めていた。

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ユダはやって来るとすぐに、イエスに近寄り、「先生」と言って接吻した。

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人々は、イエスに手をかけて捕らえた。

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居合わせた人々のうちのある者が、剣を抜いて大祭司の手下に打ってかかり、片方の耳を切り落とした。

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そこで、イエスは彼らに言われた。「まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持って捕らえに来たのか。

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わたしは毎日、神殿の境内で一緒にいて教えていたのに、あなたたちはわたしを捕らえなかった。しかし、これは聖書の言葉が実現するためである。」

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弟子たちは皆、イエスを見捨てて逃げてしまった。

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一人の若者が、素肌に亜麻布をまとってイエスについて来ていた。人々が捕らえようとすると、

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亜麻布を捨てて裸で逃げてしまった。

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人々は、イエスを大祭司のところへ連れて行った。祭司長、長老、律法学者たちが皆、集まって来た。

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ペトロは遠く離れてイエスに従い、大祭司の屋敷の中庭まで入って、下役たちと一緒に座って、火にあたっていた。

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祭司長たちと最高法院の全員は、死刑にするためイエスにとって不利な証言を求めたが、得られなかった。

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多くの者がイエスに不利な偽証をしたが、その証言は食い違っていたからである。

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すると、数人の者が立ち上がって、イエスに不利な偽証をした。

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「この男が、『わたしは人間の手で造ったこの神殿を打ち倒し、三日あれば、手で造らない別の神殿を建ててみせる』と言うのを、わたしたちは聞きました。」

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しかし、この場合も、彼らの証言は食い違った。

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そこで、大祭司は立ち上がり、真ん中に進み出て、イエスに尋ねた。「何も答えないのか、この者たちがお前に不利な証言をしているが、どうなのか。」

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しかし、イエスは黙り続け何もお答えにならなかった。そこで、重ねて大祭司は尋ね、「お前はほむべき方の子、メシアなのか」と言った。

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イエスは言われた。「そうです。あなたたちは、人の子が全能の神の右に座り、天の雲に囲まれて来るのを見る。」

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大祭司は、衣を引き裂きながら言った。「これでもまだ証人が必要だろうか。

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諸君は冒瀆の言葉を聞いた。どう考えるか。」一同は、死刑にすべきだと決議した。

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それから、ある者はイエスに唾を吐きかけ、目隠しをしてこぶしで殴りつけ、「言い当ててみろ」と言い始めた。また、下役たちは、イエスを平手で打った。

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ペトロが下の中庭にいたとき、大祭司に仕える女中の一人が来て、

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ペトロが火にあたっているのを目にすると、じっと見つめて言った。「あなたも、あのナザレのイエスと一緒にいた。」

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しかし、ペトロは打ち消して、「あなたが何のことを言っているのか、わたしには分からないし、見当もつかない」と言った。そして、出口の方へ出て行くと、鶏が鳴いた。

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女中はペトロを見て、周りの人々に、「この人は、あの人たちの仲間です」とまた言いだした。

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ペトロは、再び打ち消した。しばらくして、今度は、居合わせた人々がペトロに言った。「確かに、お前はあの連中の仲間だ。ガリラヤの者だから。」

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すると、ペトロは呪いの言葉さえ口にしながら、「あなたがたの言っているそんな人は知らない」と誓い始めた。

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するとすぐ、鶏が再び鳴いた。ペトロは、「鶏が二度鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」とイエスが言われた言葉を思い出して、いきなり泣きだした。

バチェラー訳 1897年 · 原文:パブリックドメイン · 編集層: CC BY 4.0 · 画像:Internet Archive bible.aynu.org